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日本上陸で巻き起こした波紋
 
わが国のネットワークビジネスの歴史は1960年代から始まる。
1963年に家庭用密封容器を主力商品とするタッパーウエアというアメリカ資本の会社が上陸、ディストリビューター制度を導入した営業を始めた。
 
この会社がわが国で最初のネットワークビジネス企業と考えられる。しかし、この会社が現在のようなネットワークビジネスの手法をとっていたかは定かではない。伝えられるところによれば、ホームパーティを中心とした訪問販売だったようだ。
しかし、愛用者が販売員になって商品の良さをクチコミで伝えていく販売方法は、まぎれもなくネットワークビジネスのものである。ちなみにこの会社は、現在でもネットワークビジネス業界の模範的企業として活動を続けている。
 
タッパーウエア上陸から5年後の1968年、同じアメリカ資本で洗剤を扱うスワイプジャパンが上陸した。しかし、この頃はアメリカ生まれのこの新商法が世間を騒がすことはなかった。その意味で期間は短かったが、揺籃期はこの商法にとって「平和な時代」だったといえる。
活動の舞台がまだ狭かったことと、商品が良かったことがその理由だ。ネットワークビジネスは正しく運営される限り、社会問題化することはないが、その始まりの時期は正しく理解されていたことになる。
 
ネットワークビジネスへの誤解は、アメリカからピラミッド商法企業が上陸してきた頃から始まった。1970年代初めAPOジャパン(カー用品)、ホリディマジック(化粧品)、ベストライン(洗剤)が日本上陸を果たした。いずれの会社もアメリカの連邦取引委員会が示した「ピラミッド商法の構成要件」をことごとく備えていた。またこれらの会社が、先に上陸していたネットワークビジネス企業に比べ、人集めの手法に数段長けていたことも、ネットワークビジネスにとっては不幸なことだったといえる。
 
彼らはまだビジネス感覚の未熟な若者や学生らを、言葉巧みに説明会に出席させ、催眠的手法を使って勧誘した。この手の商法に免疫力のなかった人々は「儲かるよ」という甘い言葉につられて高額の登録料を支払い、商品を大量に買い込んだ。
本来的にマネーゲームであるピラミッド商法が扱う商品は粗悪なものが多く、物品販売はほとんど商売にならないのは前述した通りである。儲けるためには多額の加盟登録料を支払い、次に同じように権利を買う人を勧誘することしかなかった。
 
会員たちは在庫処分のため強引な押しつけ販売をする一方で、自分が勧誘されたのと同じ虚偽トークを使って、友人や知人をこの商売に巻き込んだ。そのため誘った人と誘われた人との間でトラブルが続出した。被害が大きくなって社会問題化すること数年、ようやくピラミッド商法の「好ましからざる正体」が明らかになり、国会で取り上げられることになった。そして同じ頃急成長していた訪問販売や通信販売なども含め、無店舗販売を取り締まる法律として「訪問販売等に関する法律」が制定されたのである(1976年12月から施行)。
 
この頃、ネットワークビジネスとピラミッド商法は特に区別されることなく、ともにマルチ商法と呼ばれていた。そのマルチ商法が訪販法で「連鎖販売取引」と規定され、きびしい規制を受けることになったわけである。規制の詳細は後述するが、この法律で規制されたのはピラミッド商法だったにも関わらず、ネットワークビジネスもこの枠内に閉じ込められ、正しい姿を広く知ってもらうことが難しくなってしまったことは残念というしかない。
  
タイミングの悪さが誤解を生む
 
後から振り返って「なぜあんなことに熱を上げたのか」と自ら不思議に思うようなことにのめり込む癖が人間にはある。アメリカからピラミッド商法が上陸した時期は、日本でも類似商法が蔓延しており、多くの人々が熱に浮かされたように参加していた。
 
その意味でピラミッド商法にとって1970年代の上陸は絶好のタイミングであり、ネットワークビジネスにとっては最悪のタイミングであったといってよいだろう。その後遺症は長く続くことになる。
「ネットワークビジネスというのは、前にマルチ商法と呼ばれていた商法だろう。マルチ商法はネズミ講と一緒のはず。いくら呼称を変えても仕組みをいじっても、根本はネズミ講の変形にすぎない」
 
わが国ではいまだにこういう誤解をしている人もいる。さすがにここまで誤解する人は減少してきているが、なぜ誤解が生じたかを、もう少し詳しく見ていくことにしよう。それがわかればネットワークビジネスの正しい理解に役立つと思われるからだ。
 
先に述べたように、日本にいわゆるマルチ商法(ピラミッド商法)が上陸したのは1970年代のことである。ところが日本では数年前からネズミ講で急速に会員数を伸ばしている組織があった。1967年に発足した「天下一家の会」(第一相互研究所、内村健一会長)である。
ネズミ講とは、先に加入した会員が、後から加入した会員が出した金品(金銭および有価証券など)を受け取れることを内容とした金品配当組織のことである。会員がネズミ算的に増えていくことから、この名で呼ばれるようになった。
   
ネズミ講では、かりに一人の会員が二人づつ子会員を増やしていくと、二十七代目で一億人を超え、破綻することは目に見えている。今は「無限連鎖講防止法」(1979年施行)によって、これら講組織の開設、運営、勧誘の一切が禁止されている。
 
しかし「天下一家の会」発足時には、取り締まる法律がなく、実際に出資金を上回る金品を受け取る者が大勢いたので、射幸心にあおられた人々が競って参加、1970年には参加者が40万人にも達していた(この会は禁止されるまでに100万人の参加者を獲得したといわれる)。
 
もう一つピラミッド商法にとって好都合だったのは、SF商法という新手の詐偽まがい商法が登場していたことである。密室性の高い場所に人々を集めて、巧みな話術で雰囲気を盛り上げ、定額商品を無料で配って信頼させ、高額商品を買わせる商法で、別名「催眠商法」とも呼ばれていた。
 
前にアメリカのピラミッド商法が、グレン・ターナーという天才的話術の男の出現によって繁栄したという話をしたが、SF商法にもターナーに似た人物がいて、この人物の主宰する会社はほんの一時だが従業員数千人を抱える大企業に成長した。
この会社はまもなく倒産するが(計画倒産の疑いが濃厚)、手法を学んだ関係者が、折りから上陸してきたアメリカ生まれのピラミッド商法へ流れた事実も見逃せない。SF商法の手法とその関係者が加わることで、ピラミッド商法の説明会場は、いつも伸び盛りの新興宗教にも似た熱気を帯び、「儲けたい」という願望を持った人々を酔わせた。
 
ネズミ講もピラミッド商法も、その組織に加入した人が勧誘者となって、身近な人間を誘うという連鎖的手法では共通している。そしてネットワークビジネスもまた、連鎖的という点では、これらの商法と共通点を持つのである。この一点がネットワークビジネスの誤解を生じる最大の問題点であるといえる。
 
だがネットワークビジネスとネズミ講は明確に区別できる。ネズミ講は商品を介在させず、またネットワークビジネスが有限連鎖なのに対して、ネズミ講は無限連鎖だからである。それよりも今日に至るまで依然として難しいのは、ピラミッド商法とネットワークビジネスの区別のほうである。
 
もともと同じ頃に誕生し、手法もほとんど同一でありながら、ネットワークビジネスとピラミッド商法が天地の違いを生じさせたのは、ひとえに運営する人間の志の差であったといっていいかも知れない。
ネットワークビジネスは「よい商品を可能な限り安い価格で普及すること」を目指して消費者参加型のビジネススタイルを創始したが、皮肉なことにこのシステムは短期間に大金を獲得したいという考えの人間にも通用するものだった。そして文字通りそれを実行して見せたのがピラミッド商法なのである。
 
だからピラミッド商法の会社が、ネットワークビジネスを名乗って営業することは簡単にできる。そういう会社はおおむね長続きせずに消えていくしかないが、また簡単に出現してくる。そして、残した悪評の影響をネットワークビジネスが一身に受ける―こういう構図がずっと続いてきたのである。
また、最初はネットワークビジネスの仕組みで合法的にスタートした会社が、途中からピラミッド商法的な手法を取り入れることもある。それはネットワークビジネスを主宰する会社が背に腹をかえられないで手を染めてしまうこともあるし、会社は真っ当なビジネスをしているのに、参加しているディストリビューターが制度を悪用してしまう場合もある。
 
1976年の「訪問販売法」、1979年の「無限連鎖講防止法」と二つの新しい法律が施行されたことで、違法性の高いピラミッド商法の会社、ネズミ講組織は急速に衰微した。かわってクローズアップされてきたのが、正しい商法を展開してきたネットワークビジネス企業であったのはいうまでもない
 
出典/クチコミと人財が会社を変える(共著 ダイヤモンド社・刊)  

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